『アルコールチェック義務化拡大』によって、社有車もアルコールチェックをしなければなりません。
これまでは運送業などの『緑ナンバー』のみが対象でしたが今後は、一般車両である『白ナンバー』も対象です。
アルコールチェック義務化によって、社有車をどのように扱っていけばいいかわからない企業も多いと思います。
コロナ禍における法改正を乗り越えるためにも本記事では、アルコールチェック義務化の変更点や、社有車を所有している企業が気をつけることについて詳しくまとめました。
社有車もアルコールチェック義務化の対象?
結論として、社有車もアルコールチェック義務化の対象になります。
運送業などの職種で『緑ナンバー』の社有車を使用している会社については、すでにアルコール検査を定期的におこなっているでしょう。
これまでは緑ナンバーのみが検査を義務付けられていて、白ナンバーについては対象外でした。
しかし、道交法改正によって『白ナンバー』の社有車がある企業もアルコールチェックが義務化されました。
なお、アルコールチェック義務化の対象要件は以下のようになっています。
- 乗車人数が11人以上の白ナンバーの車を1台以上保有している
- 白ナンバーの車を5台以上保有している
営業などで社有車を使用している企業であれば、5台は間違いなく保有していると思いますので、ほとんどの企業が管理を見直す必要があるでしょう。
アルコールチェック義務化拡大の要因
2021年6月に千葉県で下校中の小学生5人が飲酒運転の大型トラックにはねられて死傷するという痛ましい事故が要因だといわれています。
加害者が飲酒運転常習犯ということもあり、この事故をきっかけに、飲酒運転根絶を目的とした法整備が本格的に始まりました。
2021年の時点で安全運転管理者による運転前確認は義務化されていました。
しかし、運転後のアルコールチェックはおこなわれておらず、チェック方法すら確立されていませんでした。
千葉県での死亡事故を受けて道交法の一部を改正し、アルコールチェッカーを用いた検査を安全運転管理者の業務に追加しました。
飲酒運転による死亡事故も増えていますので、今後も検査体制が強化されることが予想されます。
アルコールチェック義務化の変更点
道交法改正によって、アルコールチェック義務化の内容はどのように変わるのでしょうか?
なお、変更は2段階でおこなわれます。
2022年4月からの変更点
2022年4月から義務化となっている点は、以下になります。
- 運転前後で運転者がアルコールを摂取していないか目視等で確認
- アルコールチェックをした結果を記録として残して1年間保存
ここでポイントなるのは、2022年4月の時点ではまだアルコールチェッカーを使用する必要はないということです。
運転前だけでなく、運転後もアルコールを摂取していないか確認しなければなりません。
チェックを徹底するためには、安全運転管理者が主導となって検査の実施と記録をおこなっていく必要があります。
また、10月からの変更に備えて、アルコールチェッカーの使用にも慣れておくことが大切です。
2022年10月からの変更点
2022年10月から義務化となっている点は、以下になります。
- 事業所ごとにアルコールチェッカーを常備する
- 外出先での業務の場合は運転管理者にコンパクトタイプのアルコールチェッカーを携行させる
2022年10月からは2022年4月からの変更点に加えて、「アルコールチェッカーを使用したチェック」が義務付けられます。
なお、アルコールチェッカーについては国家公安委員会が定めた機能のついた製品を使用し、常に使用できる状態にしておかなければなりません。
アルコールチェッカーの整備についても項目が定められています。
安全運転管理者はアルコールチェッカーを適切に管理し、使用できる状態にしておく必要があります。
電源が入るか、故障はないかなど常にチェックしておきます。
アルコールチェックが必要になったときに、「正確にアルコールを検知してくれない」ことを防がなければなりません。
また、
「アルコールチェッカーの使い方がわからない」
「チェックをしっかりとおこなっていない」
ということが起きないように、指導や講習の時間を積極的に設けることが大切です。
社有車のある企業が気をつけるべき5つのポイント
万が一にもアルコール摂取による事故が発生しないようにするためには、企業はどのようなことに気をつけなければならないのでしょうか?
これまでは、対象範囲外だった社有車。
アルコールチェック義務化拡大に向けて少しずつ準備を進めるためにも、5つのポイントをおさえておくようにしましょう。
従業員の健康管理
アルコールチェック義務化拡大に対応していくことも大切なのですが、運転に関しては従業員の健康管理を徹底することも重要です。
飲酒運転に限らず、体調が悪い状態の車の運転も大きな事故につながります。
そのため、社内で定期的に健康診断や個別面談をおこなうなど、細かな健康管理がポイントになります。
社有車に関する規程
社有車については社内でしっかりと規程を設けておくことをおすすめします。
社内規程があいまいだと、社有車の管理がバラバラになってしまいます。
社有車であるにも関わらず、私用でレジャーや旅行に使ってしまったりといったことは絶対に避けなければなりません。
本来の目的以外で社有車を利用していると、保険についても適用外となる可能性があります。
また、意識改革のために日頃から飲酒運転やスマホのながら運転など、運転に関する危険の周知や講習の徹底を図るようにするといいかもしれません。
データ管理の徹底
今回の法改正では、アルコールチェックを徹底するだけでは不十分です。
チェックしたデータは漏れないように1年間、保存することが義務づけられます。
万が一、事故が起こってしまった場合、提出する測定記録のデータが保存されていないと、さらに罰則が重くなってしまう可能性があります。
そのため、アルコールチェックとともにデータ管理についても徹底しておこなっていく必要があるのです。
安全運転管理者の選任
今回の道交法改正では、『安全運転管理者』の選任も企業の大きな課題です。
安全運転管理者は、決められた台数の社有車を保有している企業で安全運転に関する指導をおこなう人を指します。
なお、選任される安全運転管理者は以下の要件を満たしている必要があります。
- 20歳以上
- 運転管理の実務経験2年以上
- 実務経験は2年未満であるが、公安委員会の認定は受けている
安全運転管理者を規程に基づいて選任しない場合、5万円以下の罰金が課せられる可能性もあるので注意が必要です。
交通安全教育や、点呼、運転計画の作成などさまざまな業務が発生します。
それに加えて今回より、運転者のアルコールチェックも安全運転管理者の業務となりました。
絶対に事故を起こさないようにするためにも、企業で安全運転管理者をきちんと選任してアルコールチェックを徹底するのが大切です。
アルコールチェッカーの所有
法改正にともない、企業のアルコールチェッカーの所有も重要なポイントです。
また、アルコールチェッカーはただ所有しているだけでなく、メンテナンスをして常に使える状態にしておかなければなりません。
今回、法改正がされたことによってアルコールチェッカーを用意する企業も増えます。
アルコールチェック義務化の内容が変更される直前で製品を用意するとなると、入手できない可能性もあります。
さらに、社有車の台数分だけしかアルコールチェッカーを用意していないと突然、故障してしまったときに台数が足りなくなってしまうので、あらかじめ多めに確保しておくことをおすすめします。
法改正後は、アルコールチェッカーがないだけで違反になってしまいますので、余裕を持って準備をおこないましょう。
まとめ
アルコールチェック義務化拡大は企業にとって重要であることがわかりました。
アルコールチェック義務化が拡大されたため、社有車についても管理を徹底する必要があります。
2022年10月になる前に、社有車に関する社内規程の確立や、アルコールチェックのデータについて社内でスムーズに管理できるように準備しておかなければなりません。
安全運転管理者の選任とアルコールチェッカーの準備が重要なポイント。
この2つが揃わないと、違反となってしまいます。
従業員の飲酒運転に対する意識改革も同時に進めていき、企業の社有車保有状況や管理状況の見直しをすることをおすすめします。
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