運送業の場合、『アルコールチェック』について気をつけなければならないのは、企業内だけではありません。
業務委託ドライバーについても、アルコールチェックを徹底する必要があります。
さらに、安全運転管理者の選任もポイントになります。
義務化拡大によって大きく変わりつつあるアルコールチェックですが、この記事では、以下のポイントについて詳しく紹介します。
新型コロナウイルス感染拡大によって増加している、業務委託という働き方。
現在の多種多様な働き方に合わせて、アルコールチェック体制を確立するには時間がかかります。
本記事では、義務化拡大にいち早く対応するために、業務委託に対するアルコールチェックの必要性や、気をつけることについてまとめました。
業務委託ドライバーにもアルコールチェックは必要?
義務化拡大によって、アルコールチェックは、より厳しいものになっています。
飲酒運転による死亡事故を減らすためにも、チェックは正確におこなうことが大切です。
企業内で管理しなければならないのは当然です。
しかし、会社の従業員でない業務委託ドライバーに対してもアルコールチェックは必ず必要なのでしょうか?
結論:業務委託先に対してアルコールチェックは原則不要
自社の従業員であれば当然、アルコールチェックは徹底しなければなりません。
しかし、派遣社員や業務委託契約者の場合、責任範囲は相手先の企業になるため万が一、飲酒運転をしたとしても自社は法的な責任を負わない可能性が高いです。
ただ、派遣社員や業務委託契約者といっても世間的には、「その会社の社員」という扱いになります。
そのため、外部の人間として扱わず、自社の社員として扱ったほうが確実かもしれません。
法的問題にかかわらず業務委託先に対してもアルコールチェックを実施する
法的に問題ないとはいえ、仮に業務委託ドライバーだったとしても飲酒運転などで問題が発生すれば、自社の従業員として取り上げられてしまうこともあります。
そのため、法律に関わらず事故を未然に防ぐ意味でも、業務委託先に対してアルコールチェックの実施をおすすめします。
さらに、可能であればアルコールチェッカーを携行してもらうようにしましょう。
もし、アルコールチェックが難しい場合は運転の前後で報告だけでもしてもらうのがいいかもしれません。
業務委託先との契約にもよるかと思いますので、アルコールチェックに関しては事前に確認しておくことをおすすめします。
安全運転管理者に業務委託契約者を選任できる?
安全運転管理者については企業の従業員だけでなく、業務委託契約者についても選任できます。
道路交通法第七十四条には安全運転管理者を選任するように記載されていますが、雇用関係でなければならないという規定は明記されていません。
運送業となるとやらなければならない業務も多く、人員不足によって社内で安全運転管理者を選任して別業務をおこなってもらうのが難しい場合もあります。
可能であれば、自社の社員のほうが社内状況を熟知しておりますので、安全運転管理者の選任にはベストです。
ですが、どうしても適任者がいない場合は、安全運転管理者の業務委託契約者への選任も検討してみてもいいかもしれません。
自社によるアルコールチェック管理の徹底
安全運転管理者が業務委託契約者であっても、社有車の使用者が自社の従業員の場合、飲酒運転などの事故が起きると自社にも罰則が発生します。
万が一、問題が発生してしまうと、たとえ業務委託契約者でも自社従業員の安全運転管理者として公表されることになります。
そうなると、会社の責任問題にもなりかねません。
そのため、安全運転管理者に業務委託契約者を選任したとしても必ず、自社でアルコールチェック管理を徹底するようにしましょう。
アルコールチェック義務化によって事業者が気をつけること
アルコールチェックの義務化拡大によって、アルコールチェッカーの導入が必要になるのは2022年10月からです。
しかし、それまでに企業がやらなければならないことはたくさんあります。
社内へのアルコールチェック義務化の周知やアルコールチェッカーの準備、安全運転管理者の選任とアルコールチェック管理体制の確立などが必要になります。
そのためには、社内で講習や教育をおこなう必要がありますので、まだ時間があるからと準備を怠らず、早めに新しいルールに対応できるよう備えておくことが大切です。
アルコールチェック5つのポイント
アルコールチェックに関してですが、ただ検査をおこなえばいいわけではありません。
アルコールチェッカーを導入しながら正確に、そして、感染予防もおこないながらチェックをしていきます。
事故防止のため、以下の5つのポイントをおさえて徹底管理する必要があります。
記録内容
アルコールチェックの記録方法について、特に決まりはありません。
アルコールチェックをするときは、以下の項目を基本として記録するようにしましょう。
- 検査日時
- 検査実施者の氏名
- 検査を確認した安全運転管理者の氏名
- 検査結果
このようなデータを記録するのが難しい場合には、スマホアプリと連動できるアルコールチェッカーを選ぶと管理しやすくなります。
すべての項目を正確に記録してデータとして保存しておくのがアルコールチェック義務化の要件になるので、漏れのないように必ず、管理をおこなうようにしましょう。
点呼時のアルコールチェッカーの使用
業務における運転前後の点呼の際は、以下の項目は必ず、確認するようにします。
- 運転者の顔色は正常か
- 呼気の臭いはないか
- 応答の声の調子はいいか
これらの項目を目視で確認し、さらに、アルコールチェッカーによってアルコール成分の検出有無をチェックします。
アルコールチェッカーによる検査だけでは、判断できないこともあります。
そのため、安全運転管理者が直接、運転者の体調を含めてチェックをおこなうのが大切です。
この確認を怠ってしまうと、安全運転管理者監督責任となりますので、事故を未然に防ぐためにも比較的、厳しいチェックをおこなうようにします。
アルコールチェッカーの管理
アルコールチェッカーは常に故障や損傷がない状態で保有していなければなりません。
コンパクトタイプの製品を持ち歩いて従業員にて各自、管理してもらうケースもあると思います。
その場合、個人だけに管理を任せるのではなく、企業側も定期的に声かけをして常に万全の状態にしておけるように心がけます。
そのため日頃からこまめな保守点検をおこなうよう従業員に周知して、アルコールチェッカーの電源が確実に入り、損傷がないことを確認するよう徹底しましょう。
対面でのアルコールチェックができないときは?
出張などによって、事業所における対面でのアルコールチェックが難しい場合もあります。
その場合は、運転管理者にアルコールチェッカーを携行してもらい、ビデオ通話などで安全運転管理者と声の調子やアルコールチェックの結果などを確認できれば問題ありません。
ただ、注意しなければならないのは自己申告だからといって虚偽の報告をしてはいけません。虚偽の報告をしてしまうと、のちに罰則となってしまうこともあります。
報告をより確実なものにするためには、通話内容を録音しておいたり、アルコールチェックの結果を写真に残しておくなどしておくといいかもしれません。
また、アルコールチェッカー製品のなかには、検査結果のデータをクラウド上で一括管理できるものもあります。
リアルタイムに自動でデータが送信されるので、対面でのチェックが難しい場合は最適です。
感染予防対策
現在は、新型コロナウイルス感染拡大の影響もあり呼気などの飛沫拡散の可能性については非常に敏感です。
感染予防対策のためにも可能であれば、運転者ごとにアルコールチェッカーを用意することをおすすめします。
それが難しい場合は、ストローやマウスピースだけでも徹底して交換するほうがいいかもしれません。
また、人との距離を十分にとったり、窓を開けたりといった基本の対策も怠らないようにしましょう。
アルコールによる消毒はアルコールチェッカーにて反応が出てしまう可能性があるので、手洗いをしっかりおこなうだけにします。
まとめ
アルコールチェックの徹底は、事故を未然に防ぐためにも重要であることがわかりました。
管理する項目も多いので、従業員に対する周知徹底も必要です。
また現在は、新型コロナウイルスの感染予防対策を行いながら、アルコールチェックをしなければなりません。
安全運転管理者のみで管理をおこなうのにも限界があるかと思いますので、早めにサポート役の従業員を任命してあげると、負担も少なくなるでしょう。
新たな変更がある2022年10月まであまり時間がありません。
アルコールチェック義務化に余裕を持って対応できるようにするためにも、早めに準備しておくことをおすすめします。
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