会社携帯を従業員に貸与している企業も多いと思いますが、利用シーンが増えることで紛失によるトラブルも増えています。
紛失した会社携帯を悪用されてしまい、謝罪文を掲載することになってしまったというような話もよく聞くようになりました。
では、実際に従業員が社用携帯を落としてしまったら、どうしたらよいのでしょうか。
このコラムでは、会社携帯を紛失してしまったときのリスクや紛失時の対応、防止策について詳しく解説します。
会社携帯としてのスマホ利用が増え、トラブルが増加している
企業が経験するセキュリティインシデントの中でも多いのが、「モバイル端末のマルウェア感染」や「端末の紛失」です。
スマホは業務に使用できるアプリも多いことから利便性が高く、会社携帯としての利用率も上がっています。
しかし、手軽に持ち運びできることから紛失等のトラブルが多いことも事実です。
会社携帯を紛失した際のリスク
会社携帯を紛失した際のリスクにはどのようなものがあるのでしょうか?
主に次の3つのリスクがあるので、詳しく解説していきます。
情報の漏洩
紛失した携帯をロックしていない、またはロックしていたのにパスワードを解読されてしまった場合、次のようなリスクがあります。
- 個人情報の漏洩
- 企業情報の漏洩
- 社内の機密情報の漏洩
会社携帯には、顧客や従業員の個人情報・取引先の連絡先・取引き先とのメールなど、重要な内容が保存されています。
会社携帯の紛失によって、個人情報や企業情報が流出し、悪用される可能性があります。
また、会社携帯に社外秘の資料を保存している場合は、機密情報の漏洩に繋がるかもしれません。
不正利用による高額請求
会社携帯に限りませんが、携帯を紛失すると悪用されてしまうこともあります。
不正利用され、身に覚えのない高額な請求が届いたという事例もあります。
また、サービスに登録されてしまい、後日高額な請求が届いたというケースもあるようです。
携帯を紛失することによって、このような金銭的なダメージを負うことがあります。
会社の信用が失われる
携帯の紛失により、顧客の個人情報や機密情報が漏洩すると会社は信用を失います。
二次被害がなくても危険性があったということは、危機管理ができていない会社とみなされ、株価の下落やブランドイメージの低下につながってしまうのです。
一度失った信用を取り戻すのは難しく、悪用のされ方によっては会社の存続にも関わる問題に発展する可能性があります。
顧客の個人情報が漏洩して損害賠償が必要な場合、漏洩した情報や二次被害の有無によって賠償金は異なります。
二次被害がなく、漏洩した内容も住所や名前など基本的なものであれば、1人あたり概ね3,000〜5,000円程度といわれています。
しかし、漏洩した内容に秘匿性が高いものがあり、なおかつ迷惑メールなどの二次被害が発生した損害賠償請求では、1人あたり35,000円の賠償額となったケースもあります。
1人あたりの賠償金額は少なくても、トータルすると莫大な賠償額になることもあるため、会社にとっては大きなダメージとなるでしょう。
また、日本IBMの「2021年データ侵害のコストに関する調査レポート」によると、1回のデータ侵害インシデントでかかるコストは平均424万米ドルで、日本の平均コストは469万米ドルとのことです。日本は世界平均を上回り、日本円で5億円を超える金額に達しています。
情報漏洩は企業の規模に関わらず金銭的にも大きな負担となり、社会的な信用イメージの悪化にもつながるため、倒産の危機を引き起こすきっかけになる可能性もあるのです。
会社携帯を紛失するケース
会社携帯を失くしてしまった際のリスクについてご理解いただけたと思います。
次に、従業員に注意喚起をおこなうためにも、どのようなときに携帯を紛失する可能性があるのか認識しておきましょう。
落とす、置き忘れる
会社携帯を紛失する典型的なパターンが、「落とす」「置き忘れる」です。
外出が多い営業職の方などはとくに注意が必要です。
車上荒らしや盗難
車上荒らしによって顧客情報が漏洩するケースも発生しています。
車を離れる際に施錠していないというだけでなく、たとえ施錠していても車上荒らしに遭うことはあります。
そのため、車の中に顧客の個人情報が入った携帯や書類は置いておかないことを徹底する必要があるでしょう。
また、カバンやポケットに入れておいた会社携帯が盗難被害に遭うケースもあります。
たとえば電車の中で眠り込んでしまいスリに遭ったり、飲食店でトイレに行ったすきに荷物を置き引きされたりすることもあるため注意が必要です。
外出時は機密情報が記録された会社携帯を持ち歩いていると自覚して行動するように、従業員への周知と指導が必要です。
飲み会など酔っているときは特に注意!
一番危険なのが、飲み会の帰りなど、酔っているときです。
酔うと注意力や判断力がにぶるため、うっかり携帯を置き忘れたり、携帯が入ったカバンごと紛失したりする可能性が高まります。
会社の携帯を持っているときは飲み過ぎないように注意が必要です。
飲み会には携帯を持って行かないことも、一つの方法です。
会社携帯を紛失してしまった場合はどうしたらいい?
会社携帯を紛失しないよう、従業員に注意喚起をおこなっていても、人的ミスは起こる可能性があります。
紛失が判明した際、企業がおこなわなければいけないことをご説明します。
紛失したことを報告
会社携帯の紛失が判明したときは、速やかに報告するよう従業員に周知、徹底しておきましょう。
紛失したことを隠したり、「明日報告しよう」と先延ばしにしたりすれば、情報漏洩のリスクが高まります。
個人情報や機密情報が記録された携帯を紛失した場合、対応が遅れることによって関係者に甚大な被害をもたらす恐れがあります。
被害を最小限に食い止めるためにも、担当者への迅速な報告を徹底しておきましょう。
紛失したデータの確認
従業員から紛失の報告を受けたら、どのようなデータが保存されているかヒアリングしましょう。
携帯に保存されていた情報の内容や量、紛失した状況も含めて詳しく調査し、その内容を元に紛失による影響範囲を推測、確認する必要があります。
遠隔ロックや位置情報の確認
紛失時の情報漏洩を防ぐため、遠隔ロックサービスを利用すれば端末を使用できなくできます。
また、端末を売却される危険性もあるため、紛失した場所を特定して回収するために、位置情報の確認も合わせてできると安心です。
たとえば、ソフトバンクでは、管理者のパソコンから遠隔操作で会社携帯の操作ロックやデータ消去がおこなえる「安心遠隔ロック」や、おおよその位置情報を検索できる「法人ケータイ紛失捜索サービス」があります。
どちらも月額522円(税込)/回線の「法人基本パック」に含まれていますので、セキュリティ強化のためにもご利用が安全対策となります。
関係各所への通知・謝罪
影響範囲の対象となる取引先や顧客がわかれば情報の開示をおこない、謝罪が必要となります。
対象が多い場合は、Webサイト上で告知するなどの形で対応するケースもあります。
具体的な被害が予測される対象には個別でアポを取り、直接対面での謝罪、対応の検討が必要です。
最悪の場合、訴訟を起こされる可能性もあるため、法的な対応準備も含め、信用の低下を少しでも軽減する対策が必要です。
会社携帯の紛失を防止するには?
会社携帯を紛失することによるリスクや万が一の対応方法を周知、教育は大事ですが、事前に紛失を予防するための対策を打っておくことも重要です。
ここからは会社携帯の紛失を防止するための手段を3つご紹介します。
紛失防止グッズの活用
スマホの置き忘れやポケットからの落下による紛失などを防ぐために効果的なのが、紛失防止グッズの活用です。
たとえばネックストラップを使えば、スマホを落とすという事象を防げます。
また、会社携帯にスマホを導入している企業は、Bluetoothで接続できる紛失防止タグを使う方法もあります。
Bluetoothによるペアリングが解除されるとブザーや振動などの方法で知らせるため、置き忘れや落とした際に、いち早く気づくことができるので安心です。
セキュリティの強化
紛失した会社携帯を悪用されないためにも、第三者が操作できないようにロックしておくことが必要です。
機種ごとにパスワードを設定したり、指紋認証や顔認証などの生体認証機能を利用したりすれば、仮に紛失しても情報漏洩を防げるでしょう。
万が一のことを考えて、様々な会社携帯のセキュリティ強化に力を入れておくことが重要です。
遠隔ロックサービスを利用する
セキュリティの強化をおこなっても、パスワードを解読されてしまったり、生体認証に対応していない機種だったりすれば、万全とはいえません。
紛失が判明した時点で瞬時に端末を使用できなくできる、遠隔ロックサービスを利用しましょう。
遠隔ロックサービスは、遠隔操作で携帯をロックしたり、データ消去したりできるサービスです。
携帯を紛失したときは悪用を防ぐことが第一なので、遠隔操作で情報漏洩を防ぐ体制を作っておくことがもっとも安全といえるでしょう。
まとめ
会社の携帯には、外部に漏れては困る重要な情報がたくさん含まれています。携帯を紛失して個人情報や機密情報が漏洩するようなことになれば会社の信用は失われ、莫大な損害賠償金を支払うことになるケースもあります。
そのような事態を回避するためにも、従業員には取り扱いに注意するよう周知し、セキュリティの強化や遠隔ロックサービスの利用でリスクを最小限に抑えましょう。
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